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企画展 平城遷都1300年「出雲国誕生と奈良の都」

早川和子画
 いまから1300年ほど前、「出雲国風土記」が書かれたころのことです。日本の中心地は奈良にあり、政治や行政の権限が一極に集中した中央集権国家の時代でした。ここ島根県地方は出雲・石見・隠岐という3つの国に分かれ、同じ日本海側の鳥取や兵庫・京都の一部をもあわせて山陰道でくくられていました。
 下って130年ほど前の明治時代に、いまの行政単位である島根県が誕生します。面白いことに島根県はいまもこの旧3国に相当する地域に大きく分かれて強い地域色がみられます。この個性はと考えると、先の古代律令制の導入による地方行政の枠組みが大きく影響しているように思われます。
 本展覧会では、この時期を地域形成の画期と捉えながら、当時の地方制度がどのような仕組みのものであったか(第1章~第2章)、また出雲国がいつどのようにしてできたのか、あるいは出雲国が律令制を導入する中、どのような特色ある地域を形成していたのかをみようとするものです(第3章~第5章)。
 いわば前者が奈良時代の出雲国の入門編であり、後者がその誕生のプロセスや地域色を問題にした応用編とでも言えるでしょう。こんな風に紹介すると、なんだか小難しそうで敬遠されるのかもしれません。でも、ここは一度展示会場をご覧になってください。意外と知らない古代の島根や山陰の姿が、最新の調査研究の成果も踏まえてかいま見えるものと思います。
 それともう一つ大きな見どころをご紹介します。くしくも来年は奈良に都が置かれてからちょうど1300年目に当たります。奈良時代を取り上げた本企画展に、特別コーナー「平城京・正倉院宝物・古代銭貨」を設けます。当時の政治の中心地・平城京跡の発掘品や、天平文化の香り漂う正倉院宝物(模造品)、さらには皇朝十二銭で知られる古代銭貨の一大コレクションが展覧されます。この機会に是非、1300年前の出雲を、そして奈良をのぞいてみてください。


■会期:2009年10月9日(金)~12月13日(日)
■開館時間:午前9時~午後6時(11月からは午前9時~午後5時)
        ※入館は閉館30分前まで
■会期中の休館日:10月20日(火)、11月17日(火)
■会場:島根県立古代出雲歴史博物館 特別展示室
■主催:島根県立古代出雲歴史博物館、島根県古代文化センター、財団法人自治総合センター
■後援:朝日新聞松江総局、毎日新聞松江支局、読売新聞松江支局、産経新聞松江支局、中国新聞社、山陰中央新報社、新日本海新聞社、島根日日新聞社、NHK松江放送局、BSS山陰放送、日本海テレビ、山陰中央テレビ、エフエム山陰、山陰ケーブルビジョン株式会社、出雲ケーブルビジョン株式会社、ひらたCATV株式会社、社団法人平城遷都1300年記念事業協会


●観覧料は以下の通りです。
 当日券団体券前売券
一般企画展700円560円550円
セット券1,000円800円800円
大学生企画展400円320円 -
セット券600円480円 -
小中高生企画展200円160円 -
セット券300円240円 -

※団体は20名以上です。
※セット券とは、常設展を含めたチケットのことです。
※小・中・高生の学校教育活動での観覧は無料(観覧料減免申請書の提出が必要)です。
※障がい者手帳をお持ちの方、及びその付添人(手帳保持者1人につき、1人まで)は無料です。
古代出雲歴史博物館年間パスポートでご覧いただけます。


展示構成 ◆展示替え計画一覧PDFファイル◆
プロローグ 律令制的国郡制の成立
・地域社会が国-郡-郷という行政段位に再編され、人々が国家に税意を納めるようになった。

第1章 律令制下の出雲国
・律令制において文字が果たした役割や、出雲国での律令体制の成立と浸透を、出土文字資料で紹介。

第2章 都につながる出雲
・律令制国家は、国造のクニを否定する形で令制国を成立させ、諸国と都城、諸国間は官道で結ばれたことを明らかにする。

第3章 律令制前後の山陰
・令制国以前の権力集約の在り方とその特色を明らかにする。また、律令期に向けて、これらの豪族層がどのように国家に編成されていったかを示す。

第4章 出雲国府の誕生
・意宇平野に7世紀後半、それまでになかった政治・経済の中心が忽然と現われる。意宇平野が選ばれた国府前史を繙きながら、出雲国府の偉容を解説する。

第5章 律令制と地域社会
・律令制が地域社会にどのように変容をもたらしたか、また不変のものは何か。出雲国というまとまりの実態と、その特質を示す。

エピローグ 現代にもつながる律令制

紫檀木画箱(復元模造品)

紫檀木画箱(復元模造品)
紫檀の薄板、矢筈・甃文木画、象牙界線で装飾した箱で、芯材は欅(けやき)。変形逆籠蓋造。内面および底裏は甃文木画で町形に画し、黄楊木の薄板を貼る。木画は象牙・黒柿・花櫚・黄楊木・錫の各材を薄片にして貼りあわせ、それを細かい棒状に切断したものを組み合わせて構成する。


緑地彩絵箱(復元模造品)

緑地彩絵箱(復元模造品)
正方形に近い形状の印籠蓋造の箱。スギ製。蓋と身は緑色を地とし、花文とその間を舞う蝶が描かれ、華やかである。各稜の周縁には押縁を貼り、金箔地に蘇芳色と墨とで玳瑁(たいまい)に似せて表わされる。床脚は各面二個の格狭間を表し、金箔地に墨で忍冬唐草文を描き、あたかも金属の透彫のようにみせる。内部は蘇芳胡粉塗りの淡紅色、身の底は丹塗りの橙色を呈す。


来美廃寺鬼瓦

来美廃寺鬼瓦(松江市・来美廃寺/奈良時代)
この鬼瓦は8世紀後半代の寺院整備に伴って来美廃寺に導入されたもので、法隆寺の鬼瓦(南都七大寺Ⅱ式)を模している。



金銅大合子(復元模造品)

金銅大合子(復元模造品)
香を入れる容器として使われたとされる、相輪形の鈕をもつ大形の合子。このような鈕を持つ合子は塔鋺あるいは塔鋺合子と呼ばれる。鋳銅製で、肩の張った球形をした胴部のほぼ中央を合わせ目として蓋と身に分かれる構造である。全体に轆轤挽きで仕上げられており、鍍金は内面や底部にまで施されている。正倉には金銅製のほか、黄銅、赤銅、佐波理製の塔鋺形合子も伝わる。


和同開珎銀銭

和同開珎銀銭
律令国家は和同開珎から乾元大宝にいたるまで、12種類の貨幣を発行したことで知られてきた。奈良期に3種、平安期に9種である。近年ではこれに富本銭を加えて貨幣鋳造の歴史が捉えられようとしている。古代銭貨は、9世紀半ば以降、次第に小型化し、銭文も不鮮明になる。10世紀後半を最後に銭貨の発行は途絶えてしまう。


関連イベント
(1)関連講座1「企画展への招待-なぜいまこのテーマ・時代なのか-」
  [日時]2009年10月10日(土)13:30~15:30

(2)関連講座2「古代都市・平城京を語る(仮)」
  [日時]2009年10月24日(土)13:30~15:30

(3)関連講座3「奈良時代の出雲(仮)」
  [日時]2009年11月7日(土)13:30~15:30

(4)関連講座4「天平の美・正倉院宝物の世界」
  [日時]2009年11月21日(土)13:30~15:30

(5)関連講座5「学芸トーク"出雲国誕生と近隣諸国"~山陰地方の過去・現在・未来を語る!?(仮)」
  [日時]2009年12月5日(土)13:30~15:30

●万葉楽・お出かけ講座1
 「万葉の歌や草花、住居を愉しむ-秋の風土記の丘の天平学講座-」
 [日時]2009年10月12日(月)10:00~12:00

●万葉楽・お出かけ講座2
 「どっこい生きてる入海の生き物たち-ゴビウス観察会-」
 [日時]2009年10月18日(日)10:00~12:00


◆天平楽ワークショップ1
 「天平アートを愉しむ-銀ねんどでつくる天平の意匠-」
 [日時]2009年11月8日(日)13:30~16:00

◆天平楽ワークショップ2
 「天平を味わう-奈良の都のごちそう体験-」
 [日時]2009年11月29日(日)13:30~16:00

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