HOME > 古事記編纂1300年企画展「神々のすがた」~古代から水木しげるまで~

古事記編纂1300年企画展「神々のすがた」~古代から水木しげるまで~

「子どもの頃、ぼくは漠然と「鳥取」と「島根」は違うと感じていた。地理的に近くても雰囲気がまるっきりちがうのだ・・・目に見えない神々がよってきているようなのだ。
島根の人々には、出雲の神々の雰囲気が漂う・・・ぼくはベビイの頃から、島根県人というと、凡て神につかえている人だと思っていた。」(水木しげる『神秘家水木しげる伝』)


水木しげる氏がこのように感じるように、島根県は神に捧げ神を舞う神楽が全国的にも盛んな土地柄であり、『古事記』や『日本書紀』、『出雲国風土記』を舞台とした様々な神話や伝説を伝えています。

とりわけ小泉八雲が「神々の国」と形容した杵築(出雲市大社町)には出雲大社があり、『日本書紀』は、祭神の大己貴命は、この世の「顕露」(目に見える世界)を皇孫に譲りささげたかわりに、「神事・幽事」(目に見えない神の世界のものごと)を治めることになった、と伝えています。

このように、古来日本人は、神々は目に見えない世界にあり、我々の目には見ることのできない存在と考えてきました。このため古来からわが国の人々は、心の中でとらえた神々のすがたを形にあわらすうえで、絶えず模索をくりかえしてきたのでした。


古事記編纂1300年を前に、当館と島根県立石見美術館では、島根県の東西で企画展「神々のすがた」を開催します。
当館では、はるかいにしえから現代にいたる「神のすがた」の変遷をたどることにより、日本人の神に対する心性をさぐります。また石見美術館では、近代美術で古事記の名場面をたどる「神々のすがた 古事記と近代絵画」を開催します。

神々が集う秋の出雲で、悠久のいにしえから今にいたる、日本人の根底に流れる神々への心と感性に思いを寄せてみませんか?
  →島根県立石見美術館へリンク


■会期:2010年10月8日(金)~11月28日(日)
■会期中の休館日:10月19日(火)、11月16日(火)
■開館時間:午前9時~午後6時(11月からは午前9時~午後5時)
   ※入館は閉館30分前まで
■会場:島根県立古代出雲歴史博物館 特別展示室
■主催:島根県立古代出雲歴史博物館・日本海テレビ
■後援:出雲の国「社寺縁座の会」、毎日新聞松江総局・読売新聞松江支局・毎日新聞松江支局・産経新聞松江支局・日本経済新聞社松江支局・山陰中央新報社・中国新聞社・島根日日新聞社・新日本海新聞松江支局・NHK松江放送局・BSS山陰放送・山陰中央テレビ・エフエム山陰・出雲ケーブルビジョン株式会社・山陰ケーブルビジョン株式会社・ひらたCATV株式会社



観覧料



 当日券団体券前売券
一般企画展700円560円550円
セット券1,000円800円800円
大学生企画展400円320円 -
セット券600円480円 -
小中高生企画展200円160円 -
セット券300円240円 -

※団体は20名以上です。
※小・中・高生の学校教育活動での観覧は無料(観覧料減免申請書の提出が必要)です。
※障がい者手帳をお持ちの方、及びその付添人(手帳保持者1人につき、1人まで)は無料です。
『古代出雲歴史博物館年間パスポート』でご覧いただけます。
※こちらの展示のチケットを「水木しげる記念館」で提示すると、100円引きとなります。(2010年11月28日まで)
 →水木しげる記念館


展示担当者より



【おすすめ3品】

男神坐像(京都市 松尾大社所蔵 重要文化財)
現存する最古の神像の一つ(平安時代初期・約1200年前)といわれ、我が国の神像を代表する作例の一つでもある。威厳に満ちた堂々たる姿なのに、わざわざ木の節を残している。このことから霊木を彫刻して制作された可能性がある。
 
八幡神坐像(飯南町 赤穴八幡宮所蔵 重要文化財)
写実性に富む鎌倉時代を代表する神像で、武神らしく力強い。胎内に嘉暦元年(1326)に山城国(京都府)の仏師が制作したことを記した木札が納められている。東京国立博物館に寄託されており、今回13年ぶりのお里帰りとなる。

摩多羅神坐像(安来市 清水寺所蔵)
今回の企画展に伴う調査の中で偶然見つかった神像。胎内に嘉暦四年(1329)奈良の仏師・覚清が制作したと記されている。制作年がはっきりしている摩多羅神の彫刻では最古。強大な霊力を秘めた神といわれ、芸能の神としても厚い信仰を受けた。





展示構成

※こちらの展示では、こまめな展示替えがあります。
 →詳細はこちら

(1)現代の神々のイメージ
髪をみずらに結った古代の豪族の姿で表わすのは、実は明治20年代以降に確立されたイメージなのでした。

遮光器土偶  青森県亀ヶ岡遺跡出土<br>縄文時代晩期<br>明治大学博物館所蔵

(2)目に見えぬ神
古代、神は特定の山、木、磐人などに降臨し、神意を託宣(たくせん)するとされました。
神が示現する場(斎庭)や神器を通じて、古代人の神観念を探ります。








木造男神坐像 平安時代初期(9世紀)<br>京都 松尾大社所蔵<br>重要文化財

(3)顕現する神
仏教が伝来すると、仏像は当初「異国の神」とうけとめられ、8世紀にはいると、神々を神像や絵画で表現するようになりました。
また神の正体と捉える「本地垂迹」、神こそ仏の本質とする「神本仏迹」など神仏習合思想が広く行われました。









六大黒曼荼羅 室町時代<br>島根県立古代出雲歴史博物館所蔵

(4)多様化する神
中世後期になると福神が庶民の信仰を集め、神能や神楽で神を演じるようになり、近世には儒学や国学の進展により、髪型や装束の考証が行われるようになりました。
また、神々が身近な存在として錦絵や風刺画に登場するようになりました。















桐生本町四丁目鉾 素盞鳴尊(明治8年)<br>桐生市本町四丁目自治会所蔵
桐生本町四丁目鉾 素盞鳴尊(明治8年)
桐生市本町四丁目自治会所蔵
スサノオ
スサノオ
スサノオ
スサノオ
(5)英雄神・スサノオ
日本神話を代表する英雄神・スサノオ。
荒ぶる神威から、中世には疫病を祓う牛頭天王と習合し、また勇猛な神として今にいたるまで信仰を集めています。




温泉津舞子連中と瓜生山舞子連中の練習風景

(6)現代に生きる神
「純粋な太古からの精霊信仰・・・それは宗教の前段階としてのアニミズムとか、そういったものとは違う、本当のあるべき宗教としての"草木虫魚教(アニミズム)"なのだ。」精霊とは何かと長年にわたって問い続ける水木しげるが捉えた神々の姿とは?





清水寺所蔵 木造男摩多羅神坐像

(7)神を継承する
神を舞い神に捧げ、神と人々が共に楽しむ神楽。
地域共同体の崩壊の危機の中で、中国地方の神楽社中は地域の人と土地との絆を守り続け、絶えず模索しています。
神楽を通じて神の姿を継承する人々の姿を映像で紹介します。






清水寺所蔵 木造男摩多羅神坐像
2008年に清水寺の収蔵庫に所蔵されていることを確認。2009年2月の長谷洋一教授(関西大学、仏教美術史)による精査により、鎌倉時代の摩多羅神と判明。
摩多羅神とは、天台宗寺院の常行堂(護法堂)に祀られていた神で、中世に盛んに信仰を集めた。常行堂の阿弥陀の背後に祀られ、「後戸(うしろど)の神」とも言われる。

[詳細]





ページトップ