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お知らせ

新収蔵品2点~地元ゆかりの切銀と丁銀の優美品~
「出雲木瓜切銀」と「元禄24面大黒丁銀」(~2015/5/24)



このたび島根県立古代出雲歴史博物館では、下記の銀貨幣資料2点を新たに購入しました。両品はこれまで当館が収集に力を入れてきた、銀貨幣コレクション及び大黒コレクションを充実させるものであり、今後、常設展及び企画展などで活用いたします。


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1.新収蔵品の概要

(1)出雲木瓜切銀
重さ76.7g。径約7㎝(推定)。円形で、全体の半分程度が残る大型品。表面に多数打たれた「木瓜」極印(ごくいん)と、裏面の全体にわたる皺(しわ)が特徴です。この特徴は、地方銀の 一種である当地ゆかりの「出雲木瓜銀」であることを示しています。

(2)元禄24面大黒丁銀
重さ176g、長さ10.3㎝、ナマコ型。両面に元禄丁銀の特徴を表す「元」の年代印と、「大黒像」の極印が24個打たれています。これほど多くの打刻は、通常のものにはなく、特別仕様の丁銀と考えられています。


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2.新収蔵品の価値と見どころ

(1)出雲木瓜切銀
戦国時代から江戸時代初期にかけて、各地で鋳造され通用していた金銀貨を、地方金銀といいます(領国貨幣とも)。地方銀は全国で33国ほど知られ、そのうちに出雲国産のものがありました。それは深い皺があり、木瓜の形の極印を特徴としています。
この資料は、形状や極印の特徴から「出雲木瓜銀」と呼ばれる地方銀に間違いなく、まさしく地元産のものとして、島根県にとって欠かせない資料です。
「出雲木瓜銀」は江戸幕府の銀座方の史料にみられるなど、以前から貨幣界で知られてきたものです。しかし、一方で地元の史料に欠けていて、実態がよく分からない資料でもあります。このように「出雲木瓜銀」はなぞの多い資料であることから、今後の調査研究が期待されます。
この種の地方銀は当時、切使いされて流通していたため、小片で伝わることが多いのですが、本品は国内最大クラスの大型品であり、製造の状況や切り使いの様子などを知ることができます。

(2)元禄24面大黒丁銀
価値を一言でいえば、丁銀の中でも両面に24面もの「大黒像」が整然と押された美麗品で、他に例がない一品物であるということです。
江戸時代の丁銀は、公貨である証として銀座の長官であった「大黒常是」の極印が打たれていました。その数は通常6個ないし8個であり、12面になると一般の通貨ではなく、献上(けんじよう)用や贈答(ぞうとう)用に作られたとされています。本品はその倍の24面もあり、よほど特別なものとして作られたに違いありません。
24面のものは国内で2例あるのですが、極印がこれほど見事に並んだ例はこれが唯一で、しかも保存状態が大変良好であることから、まさに特注品の中の特注品、優美品の中の優美品と言えるでしょう。また、極印の「大黒像」と言えば、福の神信仰を集める出雲地方に相応(ふさわ)しく、これまた島根県にとって縁の深い資料です。是非極印打ちの妙技をご覧ください。


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3.新収蔵品の購入価格

  (1)出雲木瓜切銀・・・・・・・・・2,300千円
  (2)元禄24面大黒丁銀・・・・・・9,990千円
              合計 12,290 千円(消費税抜き)


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4.新収蔵品の特別公開

◆2015年4月22日(水)~4月26日(日)の5日間。
当館:中央ロビーで展示。観覧時間は9:00~18:00。無料。     
◆2015年4月27日(月)~5月24日(日)の27日間。(但し5/19は休館日)
当館:常設展示コーナーで展示。観覧時間は同上。
有料(一般610円・大学生410円・小中学生200円)。

*当館には、個人からの寄託資料で、ほぼ同じようにして作られたものとみられる出雲木瓜切銀が2点あります。これもあわせて展示します。

関連リンク
島根県報道発表資料(島根県WEBサイト)

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