企画展「荒神谷発見!-出雲の弥生文化-」
昭和59年(1984)の夏、荒神谷遺跡(出雲市斐川町)で358本もの銅剣が発見され、さらに翌年、銅鐸6個・銅矛16本が出土しました。荒神谷遺跡は全国最多の青銅器大量埋納遺跡として、大きな注目を集めることになります。この発見により、それまで神話や古代史から描かれていた古代出雲のイメージは大きく変わりました。
本企画展は、荒神谷発見40周年の節目の年に、最新の研究成果を踏まえ、あらためて出雲の弥生文化に焦点を当てるものです。まず、島根県内で近年行われた発掘調査の成果を通じて、水田農耕や狩猟・漁労、住まいやモノ作りなど、弥生人たちの生活の実態を解き明かします。次に、出雲で玉作りが本格化し、遠く離れた九州・朝鮮半島との広域交流を行っていた様子、また争いが起こっていたことを示す資料を紹介します。さらに、弥生人がまつりの道具として採用した青銅器の、製作から使用に関わる資料を示し、出雲の青銅器大量埋納の謎に迫ります。

会 期
令和6年7月12日(金)~ 9月8日(日)
※会期中の休館日:7月16日(火)、8月6日(火)、8月20日(火)、9月3日(火)
開館時間
9:00~18:00(最終入館17:30)
※ 7月12日(金)は特別展示室のみ午前10時開場
会 場
島根県立古代出雲歴史博物館 特別展示室
主 催
島根県立古代出雲歴史博物館、島根県古代文化センター
協 力
一般社団法人 日本考古学協会
後 援
朝日新聞松江総局、産経新聞社、日本経済新聞社松江支局、毎日新聞松江支局、読売新聞松江支局、中国新聞社、山陰中央新報社、島根日日新聞社、新日本海新聞社、共同通信社松江支局、時事通信社松江支局、NHK松江放送局、TSKさんいん中央テレビ、テレビ朝日 松江支局、日本海テレビ、BSS山陰放送、エフエム山陰、出雲ケーブルビジョン、山陰ケーブルビジョン、ひらたCATV株式会社
観覧料
企画展「荒神谷発見!-出雲の弥生文化-」 | 当日券 | 団体券 | 外国割 ※(8) | WEB限定 前売券 |
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一般 | 企画展 | 700円 | 560円 | 350円 | - |
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常設展とのセット券 | 1,010円 | 800円 | 660円 | 800円 |
大学生 | 企画展 | 400円 | 320円 | 200円 | - |
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常設展とのセット券 | 600円 | 480円 | 400円 | - |
小中高生
| 企画展 | 200円 | 160円 | 100円 | - |
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常設展とのセット券 | 300円 | 240円 | 200円 | - |
(1)WEB限定前売券は会期中に限り有効です。
(2)団体は20名以上です。(団体利用案内)
(3)毎月第三日曜日に家族で来館された小中高生は観覧料が無料です。(しまね家庭の日)
(4)小中高生の学校教育活動での観覧は無料です。(団体利用案内)
(5)学生の方はチケットご購入の際に、学生証または生徒手帳を受付にてご提示下さい。
(6)障がい者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者福祉手帳)をお持ちの方、障害者手帳アプリ「ミライロID(外部サイト)」をご提示の方、及びその付添人(手帳保持者1人につき、付添人1人まで)は無料です。
(7)外国籍のお客様は、受付にてパスポート及び在留カード又は特別永住者証明書をご提示いただきますと、外国割の金額になります。(この場合、各種割引との併用はできません。)
(8)この展示は古代出雲歴史博物館ミュージアムパスポートでご覧いただけます。
関連講座
1.荒神谷銅剣はいかに創り出されたのか
[日 時]7月13日(土)13:30~15:00 終了しました。
[講 師]吉田 広氏(愛媛大学ミュージアム教授)
2.青銅器をもつことと弥生地域社会-西日本各地の比較-
[日 時]7月27日(土)13:30~15:00 終了しました。
[講 師]若林邦彦氏(同志社大学歴史資料館教授)
3.青銅器なき世界からみた弥生社会像
[日 時]8月3日(土)13:30~15:00 終了しました。
[講 師]寺前直人氏(駒澤大学文学部教授)
4.荒神谷大量青銅器の発見とその後
[日 時]8月24日(土)13:30~15:00 終了しました。
[講 師]足立克己氏(元古代出雲歴史博物館学芸部長)
[会 場]古代出雲歴史博物館 講義室
※オンライン(Zoom)で同時配信します。
[会場定員]各回60名(要事前申込) 参加無料
ギャラリートーク 担当学芸員による展示解説
[日 時]
第1回:7月13日(土)10:00~11:00 終了しました。
第2回:7月27日(土)10:00~11:00 終了しました。
第3回:8月3日(土)10:00~11:00 終了しました。
[定 員]各回20名(要事前申込)
◆参加には企画展観覧券もしくはミュージアムパスポートが必要です。
◆申し込まれた方は、当日の開始時間に特別展示室入口付近にお集まりください。
弥生ブロンズネットワーク スタンプラリー
当館、荒神谷博物館、加茂岩倉遺跡ガイダンス、出雲弥生の森博物館で構成する「弥生ブロンズネットワーク」では、この企画展の会期中(7月12日(金)~9月8日(日))スタンプラリーを実施します。4施設を巡ってスタンプを集めた方には景品をお渡しします。
※景品がなくなり次第終了となります。
図 録
図録「荒神谷発見!」
1,650円(税込み)
展示図録等の販売について
出品目録
出品目録(PDFファイル)
主な展示品

島根県指定文化財 細形銅剣
(伝竹矢出土/島根県松江市)
弥生時代中期前半頃(紀元前4世紀)
平濱八幡宮蔵
昭和8年に、松江市竹矢町の高圧線鉄塔建設工事で発見され、神社に奉納されたと伝えられる銅剣。形態や材質の特徴から朝鮮半島で作られた可能性が考えられます。同様の銅剣は福岡県、佐賀県で多く出土しており、北部九州と出雲が古くから強く結びついていたことを示す資料です。

左上:漆塗容器 蓋
(西川津遺跡出土/島根県松江市)
弥生時代後期(1世紀)
島根県教育委員会蔵
左下:漆塗容器
(今宿五郎江遺跡出土/福岡県福岡市)
弥生時代後期(1世紀)
福岡市埋蔵文化財調査センター蔵
黒漆の下地に赤漆の細線で緻密な文様が描かれた優品です。日常使う容器と異なり、中央が膨らんだ円筒形の特殊な器形をしています。同様の漆塗り容器は、福岡県と佐賀県でのみ発見されており、北部九州以外では松江市の西川津遺跡が唯一の発見例です。

左:島根県指定文化財 辟邪文銅鐸
(伝出雲出土)
弥生時代後期(1世紀)
(一財)八雲本陣記念財団蔵
右:佐賀県指定文化財 吉野ヶ里銅鐸
(吉野ヶ里遺跡出土/佐賀県吉野ヶ里町)
弥生時代後期(1世紀)
佐賀県教育委員会蔵
同じ鋳型で作られた「兄弟銅鐸」です。吉野ヶ里銅鐸が先に作られ、後で作られた出雲の銅鐸には、邪悪なものを追い払う顔や鳥の絵画が描かれています。

右上:佐賀県指定文化財 銅鐸鋳型
(本行遺跡出土/佐賀県鳥栖市)
弥生時代中期(紀元前1世紀)
鳥栖市教育委員会蔵
右下:重要文化財 銅鐸鋳型
(唐古・鍵遺跡出土/奈良県田原本町)
弥生時代中期(紀元前1世紀)
田原本町教育委員会蔵
荒神谷1号銅鐸は、袈裟襷文(けさだすきもん)の中に重弧文(じゅうこもん)が描かれた極めて特徴的な文様で知られています。この銅鐸とよく似た文様のある佐賀県と奈良県で発見された鋳型を並べて展示します。

大阪府指定文化財 天秤権
(亀井遺跡出土/大阪府大阪市)
弥生時代中期後半(紀元前1世紀)
大阪府教育委員会蔵 写真提供:大阪府文化財センター
※左奥のはかりは現代のもの
弥生時代のはかりの重りで、最小の石製品(8.7g)の2倍、4倍、8倍、16倍、32倍になるように、極めて精巧に重さが調整されています。1と2で3、1と4で5など、組み合わせにより1から64の単位で計量することができます。弥生人の計量技術を示す貴重な資料です。

泊銅鐸拓本
(池ノ谷第2遺跡出土/鳥取県湯梨浜町)
弥生時代中期(紀元前3世紀)
当館蔵・三木文雄資料/現品東京国立博物館蔵
泊銅鐸は神戸市桜ケ丘1号銅鐸と同じ鋳型で作られた5つの「兄弟銅鐸」の末っ子で、山陰地方で最も古い弥生絵画資料です。類例の多いシカ・イヌ・四足獣のほか、サル・カニ・臼で脱穀する人物・弓を持つ人物・武器と盾を持ち相対する人物など多彩なモチーフが数多く描かれています。

重要文化財 椀形容器
(青谷上寺地遺跡出土/鳥取県鳥取市)
弥生時代中期(紀元前1世紀)
鳥取県蔵 写真提供:鳥取県
側面にシカとみられる動物が、躍動感あるポーズで線刻されています。泊銅鐸出土地の約2km東に位置する青谷上寺地遺跡では、数多くの絵画資料が出土しています。シカやサメの絵画は、出雲平野の絵画と描き方に共通性が確認できます。

絵画土器
(清水風遺跡出土/奈良県田原本町)
弥生時代中期(紀元前1世紀)
田原本町教育委員会蔵
まつりの場に供えられたと考えられる壺で、矢が刺さったシカ、魚と柵、盾と武器を持つ人物、大型建物が描かれています。唐古・鍵遺跡と清水風遺跡では、全国の絵画土器のおよそ3分の2となる、400点以上が出土しています。

重要美術品 家形土器
(鳥取県湯梨浜町藤津出土)
弥生時代後期(2世紀)
鳥取県立博物館蔵
弥生時代の家形土器は、全国でもほとんど発見例がない極めて希少なもので、山陰では他に例がありません。表面には貝殻を使った文様や、赤く塗られた痕が確認できます。

兵庫県指定重要有形文化財 松帆3号銅鐸
(兵庫県南あわじ市松帆出土)
弥生時代中期(紀元前3世紀)
南あわじ市教育委員会蔵 写真提供:南あわじ市教育委員会
淡路島の南部では江戸時代から弥生青銅器が発見されてきました。平成27年に松帆地区でみつかった7個の銅鐸のうち、3号銅鐸は加茂岩倉27号銅鐸と、5号銅鐸は荒神谷6号銅鐸と同じ鋳型で作られたことが分かっています。
出雲の青銅器大量埋納の謎を解明するうえで、鍵となる資料と考えられます。