ミニ企画「初公開 新発見の出雲国造北島家文書」
古代から今にいたるまで大国主神(おおくにぬしのかみ)に奉祀する出雲国造家(こくそうけ)。このうち国の重要文化財に指定された文書306通を所蔵することで知られる北島国造家では、2019年から3年にわたる調査の結果、新たに149通にのぼる中世の文書が発見されました。これらの史料は、今年の7月に刊行された『出雲国造 北嶋家文書 史料纂集古文書編』の中で紹介されています。
今回は、北島国造家のご厚意により新発見の古文書のなかから代表的な史料を初公開します。
展示期間
令和5年8月9日(水)~10月16日(月)
前期:8月 9日(水)~ 9月18日(月)
後期:9月20日(水)~10月16日(月)
※会期中の休館日:9月19日(火)・10月3日(火)
開館時間
9:00~18:00(最終入館17:30)
会 場
島根県立古代出雲歴史博物館 常設展示室
料 金
常設展の入場料金でご覧いただけます。(追加料金はかかりません。)
(一般620円、大学生410円、小中高生200円)
主な展示品
① 前備前守某奉書写(ぜんびぜんのかみぼうほうしょうつし) (前期のみ展示)
鎌倉時代 弘安3年(1280)6月7日付
関東御教書(みぎょうしょ)(鎌倉幕府からの命令書)等に基づき、出雲国造に大草・山代郷(松江市大草・大庭・山代町)の神魂社(かもすしゃ)(神魂神社)・伊弉諾社(いざなぎしゃ)(真名井神社)・惣社(六所神社)の社領所有を認める文書。かつての出雲国造は出雲国庁(大草町)付近を拠点とし、後に杵築(出雲市大社町)に移転した。その後もなおこれらの地域と深い結びつきがあったことを物語る史料。
② 国造千家直国(こくそうせんげなおくに)・北島幸孝連署注進状(きたじまゆきのりれんしょちゅうしんじょう) (前期のみ展示)
室町時代 応永27年(1420)4月5日付
千家・北島両国造が連名で、前年に奉納された剣に破損がみられることを奉行所に報告する上申書。応永26年には朝鮮の船団が対馬に侵攻する事件(応永の外寇)が発生しており、剣の破損は何らかの前兆を伝える神の託宣(たくせん)と判断して上申したと考えられる。剣は室町将軍家もしくは出雲守護の京極氏から奉納されたのだろう。
③ 杵築大社入目算用日記写(いりめさんようにっきうつし) (後期のみ展示)
戦国時代 天文24年(1555)12月13日付
戦国大名尼子晴久による出雲大社の遷宮に伴い、徴収・支出された物品の詳細な内訳。「たたら役」として鉄160駄が徴収されているのが興味をひく。
※「駄」は馬1頭の背に乗せる荷物の重さ
国造千家直国・北島幸孝連署注進状
杵築大社入目算用日記写