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出雲玉作の特質に関する研究

テーマ研究「出雲玉作の特質に関する研究」は、古代文化センターの調査研究事業の1つです。この事業では、その名のとおり古代の出雲で作られた“玉”について調査研究を行っています。今も昔も、人はアクセサリーで身を飾ります。古代において盛んに作られた勾玉や管玉などの玉類は、単なる装飾品としてだけでなく、古墳の副葬品など権威の象徴として扱われました。
さて、古代の出雲は全国でも有数の玉生産地であり、現在のところ約100か所の玉作り遺跡が発見されています。出雲では弥生時代から古墳時代にかけて盛んに玉を生産しており、奈良時代にも玉作りを行っていたことが確認できます。今も「メノウ細工」が行われる松江市玉湯町には、玉の原材料となる良質なメノウや碧玉(へきぎょく)、水晶を産出する花仙山(かせんざん 標高199m)があります。
この花仙山で採れる石材で作られた赤色や深緑色の玉、それから水晶玉が、出雲の玉の大きな特徴です。出雲で作られた玉は全国に運ばれており、全国各地の古墳から出土した玉を調べることによって、出雲の玉の流通先を特定することができます。このように、玉の製作地と消費地の資料を調査研究することは、玉の流通過程やその背景を知る手がかりにつながり、ひいては古代における社会構造の一端を解明する可能性も秘めているのです。
 この研究成果をいかし、平成21年春には古代出雲歴史博物館にて出雲の玉の企画展示を行う予定です。展覧会の前は忙しくなりそうです。

(古代文化センター 深田浩)

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