HOME > 古代出雲の多面的交流の研究

古代出雲の多面的交流の研究

出雲街道の調査

 テーマ研究「古代出雲の多面的交流の研究」は、古代出雲が他の地域とどのように活発な交流を展開していたか、これを明らかにする目的でスタートしたビッグプロジェクトです。
 古代出雲は、日本海沿岸の中心に位置し、海を舞台に大陸や九州・北陸地方と密接な関係を結んでいました。そのこと自体はこれまでも注目されてきたことですが、今回、我々がフィールドとして重視するのは、中国山地です。そこには出雲街道(出雲往来)が通っていました。この出雲街道を舞台とした山陰地方と瀬戸内海地方、そして近畿地方との交流の実態の解明こそが我々の研究課題なのです。
 出雲街道の出発点は兵庫県姫路市、そこから岡山県津山市を経由して、鳥取県日野市根雨に到達。さらに日野川沿いに北上し、日本海に出て米子市から出雲へと入ります。実はこのルート、古代までさかのぼります。そして、そのルートに沿って多くの人々や文物が移動したはずです。たとえば相撲の元祖、ノミノスクネ、この人物は出雲国の出身なのですが、現在の兵庫県たつの市で死に、そのお墓を作るために多くの出雲人がやって来たということが『播磨国風土記』に書かれています。
 このような伝承の背後にいかなる史実が隠されているのか、興味はつきません。謎解きの第一歩は古代の出雲へのルートを復元すること。そのために我々は出雲街道を徹底的に歩き、時には道なき道に迷い込みながらも、楽しく共同研究に取り組んでいます。その成果は、平成22年度の古代出雲歴史博物館の企画展で発表する予定です。お楽しみに。
      (古代文化センター専門研究員 森田 喜久男)

ページトップ