今年は『古事記』が編纂されて1300年を迎えます。とりわけ島根は古事記とかかわりが深く、『古事記』に記された神話の概ね三分の一は、出雲を舞台としています。昨今は、こうした神話ゆかりの地をたずねる多くの人々の姿が見られます。 今からさかのぼること47年前の1965年(昭和40)、半世紀ほど前に『カメラ紀行 出雲の神話』(淡交新社)という本が出版されました。神話ゆかりの地を、紀行文と写真で紹介したものです。 紀行文の執筆者は、古代史研究の重鎮で、その研究スタイルは「上田史学」とも呼ばれる上田正昭氏、写真は、主に鳥取砂丘を舞台に「Ueda-cho(植田調)」と呼ばれる独自の作品で、海外でも高い評価を得た地元在住の写真家植田正治氏の二人です。 二人は、本が出版される前年の1964年(昭和39)に取材旅行を約一週間かけて行い、これが縁となって、1974年(昭和49)には、再び『写真集 出雲』(毎日新聞社)を出版しています。 本展覧会では、この二冊の本をもとに、復刻した写真を含めて106点の写真を選び、半世紀ほど前の出雲の姿を紹介します。二人が感じた神話の世界が生きている出雲、そして、その背景にある重厚な歴史へのまなざしを、ぜひお楽しみください。 会期★2012年7月21日(土)〜10月8日(月・祝) 会期中の休館日:8月21日(火)、9月18日(火) ◆開館時間:午前9時〜午後6時 ※入館は、閉館時間の30分前まで ◆会場/島根県立古代出雲歴史博物館 特別展示室