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古代出雲歴史博物館の設計者 槙文彦氏のコメント

槙文彦氏
槙総合計画事務所長 槙文彦氏

古代出雲歴史博物館外観
古代出雲歴史博物館外観

 出雲は神話や歴史で学ぶことの多かった地であり、設計者して、皆さんが持っている古代への興味・郷愁を分かち合うことができる環境を作りたいと思いました。

 古代出雲歴史博物館が立地する場所は色々な意味でユニークな場所と思います。一つは、出雲大社の隣地であること、もう一つは北山山系を背景としており、この北山山系は、すべてではないにしろ、古代の風景が継承されているからです。


この博物館では、展示などを通して、古代出雲がどのようなものであったか、学び感じます。この経験の後に、ガラスのロビーにくると古代の風景(自然)が見え、かつまた3階に上がると展望フロアがあり、出雲大社の屋根が見えてきます。これらによって、来館者が古代の人たちが見たであろう、感じたであろうことを完全ではないにしろ、再現することが可能ではないかと思いました。それがこのような建物の構成となった理由の一つです。


また、出雲は鉄の精錬が始まった場所でもあるだけに、建物の一部には思い切った長さ、高さでコールテン鋼という鉄材を表装に用いています。それがこの博物館の建物の特徴になっています。
建物は可能な限り回遊性を意図しています。最初に敷地の境界を作っているコールテン鋼のゲートを抜けると真っ直ぐに並木があり、そのちょうど正面にガラスのエントランスが立ちはだかっています。このエントランスを入り、右に行くとそこは広い展示ロビーになっており、そこから自由にいくつかの展示空間に行くことができます。そして展示を見終わった方々は階段で2階に上がり、ガラスのエントランスにもどりますが、その突き当たりに憩いの場所である喫茶室が設けてあります。そしてその上(3階)には先ほどお話をした展望フロアがあります。そして古代からとされる眺望を見て降りて帰っていただく、このように同じ所を出たり入ったりすることのない形で、そして各場所から異なった眺望が展開する、そのようなイメージでこの建物を設計しました。


このような静かな環境の中でできるだけ多くの方が、展示などを通して古代の日本を知り・感じ、そうした経験からあらためて我々の文化の起源とどういう関係があるかという興味を深めていただきたいと思います。その上でこの施設が多くの方にとって関心があるものであり、かつ島根県にとってその地域のアイデンティティをさらに強調していく貴重なリソースになっていくことを期待しています。


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