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特別展「茶の湯のものづくりと世界のわざ」~千家十職×みんぱく~

千家十職(せんけじっしょく)×みんぱく

2009年3月12日から6月14日まで国立民族学博物館(民博)で開催された特別展「千家十職×みんぱく」は、展覧会の概念を打ち破る意欲的な試みで、茶道関係者のみならず広く美術ファンを魅了し、会期中に4万5千人を動員しました。展覧会図録にある松園館長の言葉を借りますと、「千家十職の人たちにとっての創作モチーフとして、民博の収集資料を役立ててもらうとともに、彼らの審美眼によって選び出された資料を展示するという試み」は、「創造の源泉が民族資料の中にも見出せることを示した」とあります。
本展覧会は、今まで同時に語られることのなかった千家十職の作品と世界の民族資料を「手仕事という共通するキーワード」で展覧するという、かつてない画期的な企画でした。展覧会名である「千家十職×みんぱく」の×(かける)という意味もそこにあります。

このユニークな展覧会に興味を持った島根県立古代出雲歴史博物館と碧南市藤井達吉現代美術館は、巡回展開催を希望。千家十職の皆さんが膨大な民博資料の中から選び出した資料を展示すると共に、民博のような広いスペースはありませんが、本展をベースにした展覧会のエキスを叶う限り盛り込んだ、作品をじっくりと身近に見られる展示を目指します。
地方の美術ファンに楽しんでもらうと同時に、千家十職の皆さんが300~400年以上にわたって継承してこられた「ものづくりの粋」をたくさんの方々に見ていただくまたとない機会。どうぞ、ごゆっくり観覧ください。


■会期:2010年7月23日(金)~9月20日(月)
■会期中の休館日:8月17日(火)
■開館時間:午前9時~午後6時   ※入館は閉館30分前まで
■会場:島根県立古代出雲歴史博物館 特別展示室
■主催:島根県立古代出雲歴史博物館、碧南市藤井達吉現代美術館、毎日新聞社
■共催:国立民族学博物館
■特別協力:表千家、裏千家、武者小路千家


観覧料

《展示替えリストPDF形式》

 当日券団体券前売券
一般特別展1000円800円800円
セット券1300円1040円1000円
大学生特別展500円400円-
セット券700円560円-
小中高生特別展300円240円-
セット券400円320円-

※団体は20名以上です。
※小中高生の学校教育活動での観覧は無料(観覧料減免申請書の提出が必要)です。
※障がい者手帳をお持ちの方、及びその付添人(手帳保持者1人につき、1人まで)は無料です。
※外国籍のお客様は、受付にてパスポート又は外国人登録証明書をご提示いただきますと、料金が半額になります。(この場合、団体割引など各種割引との併用はできません。)
ミュージアムパスポートでご覧いただけます。


展示担当者より



[見どころ1]
 千家十職の作品が一堂に揃うことは滅多にありません!
 この機会にぜひご覧ください!

[見どころ2]
 世界の民族資料(国立民族学博物館 所蔵)を通して異文化に触れてみて下さい!

[見どころ3]
 千家十職の皆さんが世界各地の民族資料を見て、何を感じたのか。
 そして、その民族資料をヒントに新たに生み出した作品とは?
 ぜひご覧ください!




展示構成


第1章 千家十職の系譜
千家十職とは、茶室ばかりでなく露地や水屋で使う道具など、茶事全般の道具を作ってきた十家です。
300年から400年を越える歴史を持ち、当代で11代から17代を数えます。ここでは各家毎に当代の作品を中心に展示し、千家十職への理解を深めます。展示作品約39点。

 [千家]表千家、裏千家、武者小路千家


 [十家]一覧
 ・金物師[かなものし] 中川淨益家[なかがわじょうえきけ]

 ・表具師[ひょうぐし] 奥村吉兵衛家[おくむらきちべえけ]

 ・竹細工・柄杓師[たけざいく・ひしゃくし] 黒田正玄家[くろだしょうげんけ]

 ・袋師[ふくろし] 土田友湖家[つちだゆうこけ]

 ・土風炉・焼物師[どぶろ・やきものし] 永樂善五郎家[えいらくぜんごろうけ]

 ・茶碗師[ちゃわんし] 樂吉左衞門家[らくきちざえもんけ]

 ・釜師[かまし] 大西清右衛門家[おおにしせいうえもんけ]

 ・一閑張細工師[いっかんばりざいくし] 飛来一閑家[ひきいっかんけ]

 ・塗師[ぬりし] 中村宗哲家[なかむらそうてつけ]

 ・指物師[さしものし] 駒澤利斎家[こまざわりさいけ]


[金物師] 十一代中川淨益(上)<br>[袋師] 十二代土田友湖 (下)
[金物師] 十一代中川淨益(上)
[袋師] 十二代土田友湖 (下)
[表具師] 十二代奥村吉兵衛(上)<br>[土風炉・焼物師] 十七代永樂善五郎(下)
[表具師] 十二代奥村吉兵衛(上)
[土風炉・焼物師] 十七代永樂善五郎(下)
[竹細工・柄杓師] 十三代黒田正玄(上)<br>[茶碗師] 十五代樂吉左衞門(下)
[竹細工・柄杓師] 十三代黒田正玄(上)
[茶碗師] 十五代樂吉左衞門(下)
[釜師] 十六代大西清右衛門(上)<br>[指物師] 十四代駒澤利斎の甥(下)
[釜師] 十六代大西清右衛門(上)
[指物師] 十四代駒澤利斎の甥(下)
[一閑張細工師] 十六代飛来一閑
[一閑張細工師] 十六代飛来一閑
[塗師] 十三代中村宗哲
[塗師] 十三代中村宗哲
第2章 世界の手仕事をもとめて
叩く、鋳こむ、捏ねる、削る、描く、塗る、組む、曲げる、張る、切る、縫う、という11の動詞を利用して、千家十職の手仕事を世界のわざと比較します。同じ手の動きを表す動詞でも、民族や材料などが異なれば、まったく違ったものが生み出されます。また文化がまったく違うのに、よく似たものが作られる場合もあります。
人間の多様性と共通性を見つけてください。展示作品約53点。
人形[牛](国:インド)<br>みんぱく所有民族資料<br><br>インドの結婚式の際、輿入れする花嫁の行列の車に載せられる一種のぬいぐるみで、凝った美しい刺繍が施されている。この刺繍は多くの場合、手紡ぎ・手織りの木綿地になされる。グジャラート州で1960年頃製作され、今も使用されている。
人形[牛](国:インド)
みんぱく所有民族資料

インドの結婚式の際、輿入れする花嫁の行列の車に載せられる一種のぬいぐるみで、凝った美しい刺繍が施されている。この刺繍は多くの場合、手紡ぎ・手織りの木綿地になされる。グジャラート州で1960年頃製作され、今も使用されている。
針金細工(国:セネガル)<br>みんぱく所有民族資料<br><br>金物のリサイクルを手掛けていた職人が、遊び心で針金を使って玩具を作り始めた。一筆書きのような針金細工、どんなふうに曲げたらできるのか。子どもだけでなく大人も興味津々である。
針金細工(国:セネガル)
みんぱく所有民族資料

金物のリサイクルを手掛けていた職人が、遊び心で針金を使って玩具を作り始めた。一筆書きのような針金細工、どんなふうに曲げたらできるのか。子どもだけでなく大人も興味津々である。
エケコ人形(国:ボリビア)<br>みんぱく所有民族資料<br><br>毛糸の帽子にポンチョをつけた太った男の人形。食べもの、身の回り品、お札など無くては困るもの、あるいは家や車など近い将来手に入れたいものを身につけている。ペルー南部からボリビアにかけての地域では、1月のアラシタの祭りの日に、教会でこの人形の祝福を受ければ、近いうちに願いがかなうと信じられている。
エケコ人形(国:ボリビア)
みんぱく所有民族資料

毛糸の帽子にポンチョをつけた太った男の人形。食べもの、身の回り品、お札など無くては困るもの、あるいは家や車など近い将来手に入れたいものを身につけている。ペルー南部からボリビアにかけての地域では、1月のアラシタの祭りの日に、教会でこの人形の祝福を受ければ、近いうちに願いがかなうと信じられている。
第3章 千家十職が挑む
千家十職が、長い歴史と伝統に培われてきた目で、民博の所蔵品を選びました。そして新しい作品を作りました。それは、創造の源泉が民博にあることを示す新しい試みです。
世界の見え方は、それぞれのもつ経験や文化によって異なります。目の前にあるものの中から何かを選ぶとき、その基準は人によってさまざまです。世界中から集まった民博にある資料の中から十職が選んだ資料とそれにもとづく作品は、美とは何か、用とは何かを問いかけます。展示作品約38点。
[表具師]十二代奥村吉兵衛作<br>メキシコアマテ紙・インドネシアバナナペーパー両面風炉先屏風
[表具師]十二代奥村吉兵衛作
メキシコアマテ紙・インドネシアバナナペーパー両面風炉先屏風
[竹細工・柄杓師]十三代黒田正玄作<br>竹弦楽器結界
[竹細工・柄杓師]十三代黒田正玄作
竹弦楽器結界
[袋師]十二代土田友湖作<br>大燈金襴写仕服
[袋師]十二代土田友湖作
大燈金襴写仕服
[土風炉・焼物師]十七代永樂善五郎作<br>青交趾水指
[土風炉・焼物師]十七代永樂善五郎作
青交趾水指
[茶碗師]十五代樂吉左衛門作<br>女ヒ アフリカンドリーム
[茶碗師]十五代樂吉左衛門作
女ヒ アフリカンドリーム
[釜師]十六代大西清右衛門作<br>妊婦像
[釜師]十六代大西清右衛門作
妊婦像
[一閑張細工師]十六代飛来一閑作<br>神代丸食籠
[一閑張細工師]十六代飛来一閑作
神代丸食籠
[塗師]十三代中村宗哲作<br>花文白丸香合
[塗師]十三代中村宗哲作
花文白丸香合
[指物師]駒澤利斎家作<br>菓子器
[指物師]駒澤利斎家作
菓子器

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